6月後半の猛暑もあり、最近深刻なまでに増えている熱中症だが、そもそも熱中症とはどういう病気なのだろうか。産業医科大学産業生体科学研究所教授・堀江正知さんはこう説明する。
「人間は皮膚からの“熱の放出”と“発汗”というふたつの方法で体温を一定に保っていますが、気温が体温より高くなると、発汗するしかない。水分補給を怠ると、体内の水分量が減って、脳の温度が上がり、体の中の熱を放出できず、熱中症になってしまうんです」
症状はさまざまで、めまいや頭痛を引き起こしたり、極度の脱力状態となったり、深刻な場合は突然意識を失って死亡することもある。
そんな熱中症だが、どんな予防策があるのだろうか。昭和大学医学部救命救急センター・救急医学講座准教授・三宅康史さんによると、夏場は体を締めつけない、ゆったりシルエットの服がいいという。
「救急で運び込まれた場合、患者の衣服をゆるめるのは基本です。また、ボタンは上まで留めず、裾も外に出して風通しよく。さらに内側に吸湿性のあるインナーを着ると発汗しやすくなるため、気化熱によって体温を下げる効果もあります」(三宅さん)
また、重要なのが水分補給。体の水分量は大人が約60%、子供は約80%。大量の発汗などで水分が5%失われると脱水症状に陥る。
「脱水症状になると血液循環が滞り、放熱がうまくできなくなります。こまめな水分補給で予防を。30分毎に150~250ミリリットル、1日で1.5リットル程度を飲み物で摂る必要があります」(三宅さん)。
※女性セブン2011年8月11日号