甲子園を目指す球児にとって、登竜門的役割を担うのが中学生を対象とする硬式野球「リトルシニア」だ。調布リトルシニア監督の中代貞夫氏(62)にその指導法を訊いた。
「中学時代はやり過ぎないことが重要です。例えば投手には、球数を投げさせません。先発でも4回ぐらい。ここで肩を消耗したら高校に行った時、故障する。変化球を数多く覚える必要もありません。何より大事なのはストレート。打たれてもいいから真っ直ぐを磨けと指導してます」
中代氏が徹底するのが投げる形、捕る形、打つ形を正しく教えること。そして最も心を砕くのは野球と真摯に向き合う心を育てることだという。
「私は今でも選手を叩きます。他のチームは叩かずに言葉で怒る。私は叩いて叱るのです。私がエラーや打てないことに対して怒ることはありません。試合中のそういったミスは指導者の責任です。私は全力疾走を怠ったりチームの輪を乱したりした選手を叱ります」
中にはこうしたチームの指導方針に口を挟む父兄もいる。
だが、中代氏は手厳しい。
「口うるさいお父さんの子供は伸びません。ここで私たちに指導を受け、自宅に帰ってもお父さんに教わるわけですよね? もし指導の内容が異なっていたら、子供は混乱し、気が休まりません。少なくともシニアではマンガの星一徹一家のような家庭は成長の邪魔になるだけだと思います」
※週刊ポスト2011年8月12日号