政府が原発の再稼働問題で二転三転する中、政・官・財・学が一体となった“原子力村”は、巻き返しに必死だ。ジャーナリストの佐々木奎一氏が、推進派の実態をレポートする。
* * *
原発推進派の言動は、改めて振り返ると凄まじい。
彼らのシンクロした動きは、「電力安定供給のために、原発を守りたい」からなのか。そうではなく、単に「原発推進という利権構造の枠組みを守りたい」からではないのか。
政治家は電力会社から献金を受け、経産省は原発推進によって大量の天下り先を確保できる。例をあげると「社団法人 海外電力調査会」の専務理事(元四国通商産業局長)の報酬の上限額は2092万5000円。「財団法人 電源地域振興センター」の理事長(元中小企業庁長官)の報酬上限は1900万円など。他の業界の天下りと比べても明らかに報酬額が大きい「おいしい話」なのだ。
そうして政官に認められた原発推進は、電力会社による巨額の設備投資を生む。それは「共同研究費」や「奨学寄付金」といった原発推進派学者たちへのカネの一部にもなるし、メーカーやゼネコン、そして地元自治体までも潤していく。
極端なたとえ話をすると、仮に「明日から、原発ではなく太陽光パネルで全ての関係者にまったく同じ利権を与える」ということになれば、彼らは環境エネルギー推進派に寝返りかねない。問題の根本はこのチェック機能なきエネルギー政策推進の在り方にこそあるのだ。
※SAPIO2011年8月3日号