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バブル期に低迷したつけま お立ち台用つけまで生き延びる

“つけま”の愛称で親しまれ、ここ数年で大人メイクにも欠かせないアイテムとなった「つけまつげ」(つけま)。その圧倒的なシェアを誇るのが、東京・台東区に本社がある、コージー本舗だ。

 コージー本舗は昭和2年(1927年)創業。もともと浅草の踊り子や芸者衆などに向けて眉墨やかつらをつくっていたが、彼女たちが自分の髪を切って、つけまつげにしているのをヒントに、昭和22年(1947年)に開発したのが日本初のつけま商品だ。

「当時は人毛で、1日20個程度の生産数でした。主な購買者は芸者さんや踊り子さんたち。“舞台映え”するものが求められていました」(代表取締役社長・小林義典さん)

 1960年代には、みゆき族やモッズルックの流行を経て、ミニの女王といわれた英国人モデルのツイッギー(61)が爆発的な人気を博した。彼女の顔に憧れて、つけまやダブルライン(アイホールにシャドーやペンシルで二重ラインを描くこと)を真似する女性が続出。細い眉と、長さ&ボリュームのあるつけまのコントラストが女性らしさの象徴とされた。

「それまでの人毛製品は毛先がブツッと切れた状態でしたが、1967年にはミンクやいたちなどの獣毛を使い、本物そっくりの、毛先が細いデザインになりました。そして1975年には、化学繊維を使って世界で初めて毛先を細くすることに成功しました。より自然になったまつげのシルエットと、人工的にテカるナイロン素材の組み合わせでつくられた製品が“光るまつげ”として大ヒット。いまだに同じ商品をまとめ買いされる愛用者のかたもいるほどです」(小林さん)

 この一大つけまブームにより、まつげ会社は100社近くに急増。高度成長期の勢いも手伝い、女性たちのファッションやメイクに対する関心も高まった。そんなブームに陰りが見えたのはバブル期。1980年代は太眉と濃いリップがメイクの主流。まつげの存在は脇に追いやられ、“つけま低迷期”が到来した。

「売り上げはがくんと下がり、まつげ会社もわずか数社に激減しました。そんな中、ディスコに通う女性たちをターゲットに、鳥の羽の形のデザインなど、お立ち台で映える派手なつけまを開発してどうにか低迷期を生き延びました」(小林さん)

※女性セブン2011年8月11日号

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