「国会の爆弾男」と呼ばれた楢崎弥之助・元衆議院議員(91歳)が憤っている。常々「わが弟子」と公言してきた菅直人・首相に、「即時退任」を求めたのである。
二人の関係は1976年、菅氏が衆院選に初出馬した時に遡る。楢崎氏は付きっきりで菅氏の選挙運動を応援。1978年に社民連を結成すると、菅氏を副代表に抜擢した。楢崎氏が政界を引退してからも師弟関係は続いていた。
ところが、首相になった菅氏は、急に冷淡になった。7月18日に楢崎氏が地元の福岡から上京すると、これまでは歓待した菅氏が一向に会おうとしない。「5分10分でいいから」と要請しても、官邸から事務方を通じて「首相は時間がない」とあっさり面会を断わられたのである。菅側近で同じく愛弟子の江田五月氏がホテルに訪ねてきて、そこから菅氏に電話をかけて「元気でやれ」とだけ伝えて東京を後にした。
楢崎氏は菅氏の不義理を嘆いたが、もしかすると菅氏は、師の並々ならぬ決意を感じ取って恐れおののいたのかもしれない。楢崎氏は「もし会えたら、即座に辞めなさいと直接伝えたかった」というのだ。
「昨年の参院選で消費税10%をいいだした時、これはダメだ、と思った。その後も地方選の惨敗、在日韓国人からの違法献金、震災と原発事故の対応、どれも目を覆うばかり。とどめは『若い世代に引き継ぐ』という発言で、これから辞める男が若い世代がどうのなんて言語道断。後の事なんて気にせずに即座に辞めなさい」――こう手厳しくいったのだった。
※週刊ポスト2011年8月12日号