これから夏休みを迎えるにあたり、被災地にボランティアに行こうと考えている人も多いだろう。多様化するボランティアの紹介から、情報収集の仕方などを紹介しよう。きっとあなたの趣味や特技を生かせるものがあるはずだ。
そうした中には被災体験に耳を傾ける傾聴ボランティアというものがある。
生きるか死ぬかの悲惨な体験をすると、直後は生きることそのものに必死だが、生活が落ち着くにつれて顕在化してくると言われているのが精神的ショックだ。そこで、それに対する心のケアが重要になってくる。
「被災者の話に誰かが耳を傾けることが非常に大事です。たとえ悲惨な体験であっても、被災者は自分の体験や心の内を誰かに話したがっており、話すことで救われるのです」
こう話すのは、阪神・淡路大震災の直後に発足し、仮設住宅で孤立感を深めていた高齢者などを相手に、悩み事を聞いたり、世間話をしたりしてきたグループ「週末ボランティア」代表の東條健司氏。東條氏のグループは、今回の大震災に際しても、すでに釜石、大館、花巻、仙台、石巻などを回った。
被災者の話に耳を傾けるボランティアは「傾聴ボランティア」と呼ばれている。臨床心理士など心理カウンセリングの資格が必要とされているわけではない。
「傾聴ボランティアで大事なことは、被災者から大事な意味が込められている言葉が出てきたら、その言葉を復唱することで共感を示してあげることです。できれば2~3人のボランティアが組になり、1人の被災者から話を聞くのがいいでしょう。1人でやるより、相手の話に反応しやすいからです」(東條氏)
話を聞く時間は30分から1時間程度だという。
※SAPIO 2011年8月3日号