フジテレビ系バラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、人間生活と切っても切り離せない“買い物”について、脳科学的に分析。衝動買いや無駄遣いがやめられないのには、こんな理由があったんです。
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買い物は生活の中心を占めるといってもよいほどの行為です。ただし、むやみに買い物をしていたら経済的に破綻してしまいます。そこで、なるべく少ないコスト(お金)で、より多くの利益(よりよい食材や品物)を得たり、より満足したりすることが重要になってきます。そのためもあって脳内には「買い物の脳内センター」ともいうべき脳領域があることがわかっています。この脳領域は進化的なもので、コストと利益のバランスに深くかかわっています。
買い物にかかわる脳内センターの一部は、麻薬や覚醒剤が作用する脳領域、つまり脳内快感系です。ですから、ストレスなどが原因で買い物中毒になるケースは、麻薬中毒とほぼ同じメカニズムによるものなのです。次から次へと買い物して、快感におぼれながらそれに慣れ、さらに買い物をするという中毒です。中毒までひどくはありませんが、「衝動買い」でも、この脳内快感系は働きます。
ちなみに、脳内快感系にはドーパミンという脳内ホルモンが深くかかわっています。このドーパミンが適切に働かない「ドーパミン制御障害」という病気が最近になって注目されていますが、買い物中毒も衝動買いもドーパミン制御障害の一種であるらしいことがわかってきました。買い物にかかわる「健常ではない脳」の代表が「ドーパミン制御障害の脳」といえます。
逆にいえば、衝動買いや不適切な買い物(無駄遣いなど)が多くなった場合、脳が健常ではなくなっているかもしれないと思ってください。脳内ダメージやドーパミン制御障害ほど深刻ではないとしても、ストレスによって脳の働きが鈍っている可能性が大きいです。脳の老化が進行してもやはり健常ではなくなります。
ただし、買い物をすること自体は進化的な行為ですし、よく買い物をする高齢者ほど長生きすることがわかっているので、脳にとってもよいことであることは強調しておきたく思います。
※女性セブン2011年8月11日号