高知の明徳義塾・馬淵史郎監督は今年で監督生活21年。計21度の甲子園出場で通算36勝20敗。2002年夏には優勝旗を取った高校球界きっての名将をインタビューした。
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──対星稜(石川)戦の松井秀喜への5連続敬遠で一気に「甲子園に嫌われた男」となり、高知に帰ってから大変だったのでは。
「やはり3年ぐらいは辛かったよ。といっても批難されたことが辛かったわけではない。なぜか勝てなかったんです。僕は何も意識していないし、事件後も明徳の野球をやりたいといって選手が集まってきてくれていた。戦力もそろっていたのに丸3年、甲子園に行けなかった。その理由はいまだにわかりません……」
──明徳で英語教師をされている奥様にも気苦労をかけたのではないですか。
「ぜんぜん。彼女は私と結婚していながら野球のルールを知らなかった。いまだにタッチアップを理解していないんです。だからバッシングされた時も『あなた何か悪いことしたの?』『俺は何も悪いことはしていない』という会話を交わしたぐらいでした(笑)」
※週刊ポスト2011年8月12日号