夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、運輸会社勤務のご主人(54歳)。奥様(52歳)と相談し、ある物を購入しました。
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50歳を過ぎてから夜中のトイレが近くなり、困るのは一度起きると、なかなか寝付けないことです。隣の布団で気持ちよさそうに寝息を立てる女房を見るとイラついて、わざと大きなクシャミをします。でも、薄目を開けた女房はすぐに何事もなかったように爆睡です。
先日もなかなか寝付けなくて、テレビの通販番組を見ていたら、紹介されたのはジェル入り冷却マット。「これだ!」と、女房の了解も得て、枕付きで2セット購入しました。これが思った以上に快適! 敷布団の上にマットを敷いて寝ると、頭と背中がひんやりしてすぐに眠りにつけました。途中、トイレに起きましたが、戻るとすぐに眠気が。「よーし、これで朝までグッスリ、夏バテなんか吹っ飛んじゃうぞ!」そう思いながら、再び眠りに。
ところが、突然「ギャ~ッ!」と女房の悲鳴が。「こ、怖~い」と、飛び起きた僕にしがみついてきました。ま、まさか泥棒!?
すると、女房は「背中がひんやりするからかしら? お化けの夢を見たの」と、怖がっている様子。あのなァ、10代の少女じゃあるまいし。
「オレの夏バテ防止のためだ。お前は、マットなしで寝ろ」というと、「嫌よ! 1万円もしたんだから」だって。ああ、次の日も、また次の日も、女房の悲鳴に起こされる僕なのです。
※週刊ポスト2011年8月12日号