サッカーが国民的な人気スポーツになっている韓国が、日本の女子サッカーのW杯優勝にいたく不機嫌だ。“アジアの盟主”を誇り、サッカーでは自分が一番と信じてきただけに、日本の優勝はショックだし、シャクにさわる。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が解説する。
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韓国人は今、韓国サッカーの“没落”を実感させられている。実は韓国サッカー界はこのところ大規模な八百長事件で大揺れなのだ。
選手がトトカルチョなどサッカー賭博のブローカーに金で買収され、試合でわざとゴールを許すなど“勝負詐欺”をやっていたという。各チームのゴールキーパーはみんな疑惑の目で見られている。
摘発は“国家代表”と称されるナショナルチームの選手をふくめ、チームぐるみに広がっている。観客は白けきっており、スタンドはガラガラだ。韓国のプロサッカー、Kリーグは今や一大危機なのだ。
男子のサッカーも近年、日本の成長が目立つ。FIFAの世界ランキングでも日本の方が上である。対日戦には異常な力を発揮してきた韓国だが、“アジアの盟主”は過去の話になりつつある。
その代わり、韓国にはキム・ヨナがいる? 韓国は日本の札幌(1972年)に遅れること46年、2018年に冬季五輪を初開催することになった。韓国もサッカーだけに熱を上げる時代ではなくなったのかもしれない。
ただ韓国はいつも必ず日本を追いかける。女子サッカーでもきっと追いかけてくる。「なでしこジャパン」もうかうかしてはいられない。
※SAPIO2011年8月17日・24日号