どうすれば投資で1億円を稼ぐことができるのか? 手堅いマネープランのアドバイスで知られる「家計の見直し相談センター」の藤川太氏に、その実現性について尋ねてみたところ、成功投資家にはある共通点があるという。以下、藤川氏が解説する。
* * *
まず最初にいわせていただくが、「1億円」は決して夢の数字ではない。
実際、私はごく普通の人が1億円を築き上げた例をいくつも見てきた。ファイナンシャル・プランナーとしてこれまで数十人の億万長者の方々とお会いしてきたが、そのやり方は実に様々だ。ビジネスで成功を収めた人はもちろん、徹底的な節約だけで1億円を貯めた人もいる。ただ、私の知る限り、運用も節約もそこそこやっているような中途半端なやり方で億万長者になれた人は少ない。
とりわけ運用によって1億円以上の資産を実現した投資家のやり方を見ていくと、多くの場合、年利30%といった高利回りを狙った「攻め」の投資が目立つ。みなさんも書店の本棚で「不動産」や「デイトレ」「FX(外国為替証拠金取引)」「中国株」などで1億円以上を稼ぎ出した成功者たちの本を目にしたことがあると思うが、彼らのやり方もまた同じようなもの。一般的にはハイリスクとされる投資先に集中的に資金を投じ、リスクをコントロールしながら、ハイリターンを享受しているのだ。
では、なぜ彼らは成功したのか。もちろん運だけではないだろうし、だからといって特別に秀でたテクニックを皆が持ち合わせていたわけでもないだろう。さらにいえば、彼らが現在、同じ手法で1億円を稼ごうとしても難しいのではないか。
実は彼らの成功の極意は「タイミング」にある。億万長者が生まれやすい時期というものがあるのだ。
たとえばITバブルが崩壊してしばらくの間、2002~2005年あたりの投資環境は決してよくなかった。不動産価格は底値を探るような展開が続き、為替も円安傾向にあった。ところが、そのような底が見えない時期に次々と不動産を仕込み、2006~2007年に訪れた不動産ミニバブルで大きく資産を膨らませた投資家がいた。あるいは円安トレンドを生かして、円を売ってドルを買うという円キャリートレードによって財を成したFXトレーダーも数多く誕生した。
彼らに共通していたのは、億万長者への「トビラ」が開いているタイミングにいち早く飛び込めたことである。
株式や為替、不動産といった市場にはさまざまな局面がある。しかし、ずっと見ていると、そこには時代によって大小の規模の違いなどはあるものの、必ずトビラは開いているものなのだ。ただし、トビラが開いている期間は往々にして短い。ましてや、かつて成功したからといって、いま同じようなトビラに飛び込んでも通用しないことがほとんどだ。だからこそ、いかにその時流に沿ったトビラを見つけ出し、意を決して素早く飛び込めるかが求められる。「いうは易し、行なうは難し」かもしれないが、それが億万長者への近道といえるだろう。
※マネーポスト2011年9月号