尋常性乾癬は、表皮細胞の過剰な増殖で起こる難治性の皮膚病だ。正常な皮膚と明確な境界があり、盛り上がった赤い発疹に白色の角質が付着してフケのようにぼろぼろ剥がれる。
日本では食生活の欧米化に伴い増加傾向にある。40~50代の男性に多く、メタボリックシンドロームとの関係が指摘されている。今年、免疫関連物質の過剰な働きを抑える新しい生物学的製剤が保険承認された。
皮膚は温度や乾燥、ウイルスなどの外敵から体を守るために常に新しい細胞が作られ、古い皮膚と入れ替わるターンオーバーを繰り返している。尋常性乾癬は、通常は約28~40日のターンオーバーが約4~5日という異常に早い周期になることで起こる難治性の皮膚病だ。
典型的な症状は、正常な皮膚と明確な境界を示す、盛り上がった赤い発疹と、その上に白色の角質が付着し、それがぼろぼろと剥がれ落ちる。頭、肘、膝など外部と接触する場所から発症することが多いが、頭の場合、当初フケと勘違いされることもある。NTT東日本関東病院皮膚科の五十嵐敦之部長に聞いた。
「戦後、食生活の欧米化が進み、動物性脂肪の大量摂取によって尋常性乾癬の患者は増加傾向にあります。患者は40~50代の男性に多く、メタボリックシンドロームと深く関係しています。
肥満や糖尿病、高脂血症などを合併し、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高いことが最近の研究でわかってきました。乾癬は皮膚だけでなく、体全体にかかわる病気です」
乾癬の発症には、免疫に関係する物質の過剰な働きがかかわっていることが明らかになっている。これらが活発に働くことで表皮細胞に炎症が起こり、乾癬特有の症状に繋がると考えられている。
※週刊ポスト2011年8月12日号