「リーマンショック以降、金相場は5~6か月のサイクルでしたが、今年7月に高値を更新したことから、さらに5か月に縮まった可能性も高い。今後、急角度のトレンドを描くことも考えられ、年末にかけて1800~2000ドルになることも予想されます。
そもそも『有事の金』の本来の意味は、何かありそうな時に備えて金を買い進め、実際に有事となった場合に高値で売ること。欧米の経済有事が完全に解消されてない以上、まだまだ高値が望めます」
ましてや、われわれ日本人には、この「超円高」が追い風になっているという。
「円建ての金価格も上がっているとはいえ、30年前につけた1グラム=6495円が最高値で、現在は4000円前後で推移しています。これは為替の影響にほかならない。いわば昨今の円高によって世界中で一番安く金を買えるのが日本なのです」(小野氏)
いうまでもなく、現在の円高は輸出産業が主力の日本経済を苦しめる大きな要因となっている。だが、金が輸入品である以上、円高はその価格を引き下げてくれるという恩恵をもたらしているというのだ。そして、将来的に円安に転じれば、金価格の上昇と為替差益のダブルでリターンを得ることも期待できるのである。
金の動向に詳しい「マーケット・ストラテジィ・インスティチュート」代表の亀井幸一郎氏もこうアドバイスする。
「もはや金は国籍のない通貨と考えるべきでしょう。円を金に替えるのは、外貨建て投資のひとつなんです。円以外の分散投資先として金を加える。資産の10~15%は組み入れてもいいと思います」
※週刊ポスト2011年8月19・26日号