円高で先行きが読めない為替相場が続いているが、だからこそ外貨を「買い」だけでなく「売り」からも入れるFX(外国為替証拠金取引)に注目が集まっている。加えて、8月1日からFXのレバレッジ上限が25倍に引き下げられたことで、FX初心者にとってより安全性が高まり、これから参入する絶好のチャンスとなっている。
だからといって、むやみに飛びついても簡単に儲かる話ではない。外為どっとコム総合研究所代表・主席研究員の植野大作氏はこう指摘する。
「命の次に大切なおカネに外国為替市場で働いてもらうわけですから、自分という司令塔が優秀じゃないとなかなか収益を上げることはできない。外貨投資である以上、その国の経済動向や株価動向、地政学上のリスク、要人の発言などありとあらゆる情報を収集し、勉強することは必須です。
FX投資で成功しようと思ったら多少の運も必要ですが、FXと長く付き合えば付き合うほど勉強の蓄積は増えてくる。そこで培った実力が残酷なくらい結果に反映される世界なのです」
ここでFXの仕組みを簡単に説明しておこう。
FXを始めるに当たって、まずはFX会社に口座を開設し、証拠金を預ける必要がある。注文はオンラインでも電話でも可能だが、それぞれ手数料や最少取引単位が異なる。たとえば1ドル=77円の時にドルを買って80円になれば3円の儲けとなり、逆に1ドル=80円の時にドルの売りから入って77円まで円高が進めばこれもまた3円の儲けとなる。
このような「為替差益」に加え、2国間の金利差から生じる「スワップポイント(金利差調整分)」も得ることが可能だ。たとえば日本円と比べて高金利の通貨である豪ドルを買うと、1万通貨当たり106円(外為どっとコムの8月4日時点の数値)が毎日付与されるので、決して小さくないメリットといえる(逆に豪ドルの売りなら106円を支払わなくてはいけない)。
※週刊ポスト2011年8月19・26日号