7月24日をもって地デジ化が開始。テレビ各局はそのメリットを喧伝し続けたが、果たして番組の質はあがってたのか――。たとえば7月29日放送の『私の嫌いな有名人 実名で発表するぞSP』(日テレ系列・19時)では和田アキ子、小倉智昭らを配して「芸能界のタブーに挑戦した」という触れ込みだった。
しかし、肝心の大物タレントたちの“嫌いな有名人”は、イニシャルトーク。会場が盛り上がれば盛り上がるほど、こちらのテンションは下がっていく。
結局、判明したのは杉村太蔵氏が蓮舫氏を嫌っている、といったどうでもいい与太話である。ホントに最近のテレビは楽屋話ばっかり。当初は新鮮で面白かったかもしれないが、もはやうんざりだ。
ドラマの不振も深刻だ。日中は、どの局を見ても韓流ドラマだらけ。
おまけに貴重な自局制作のドラマまで韓流におもねっている。『美男ですね』(TBS系列・金曜21時)に至っては韓流人気ドラマのリメイク版。映画に劣らぬ作品を作り、アジア各国にドラマを輸出していたプライドも捨てたのだろうか。
かつてテレビ界とは職人が集う場だった。そうしたプロたちが、個人の感性をろにする番組制作に嫌気がさして、または人件費削減の煽りを受け、現場から少しずつ姿を消しつつあるという。
職人が消え、視聴者が消え、そして誰もいなくなる――。
※週刊ポスト2011年8月19・26日号