居座りを続ける菅直人首相。復興への影響を懸念する声が高まる一方で、政治資金問題も浮上した。ジャーナリスト・櫻井よしこ氏が分析する。
* * *
そもそも菅首相の頭には、国家や国民という意識が欠落しているどころか、彼のこれまでの言動から、北朝鮮と通じる危険な左翼傾向が浮かび上がってきます。
7月2日、産経新聞は菅首相の資金管理団体「草志会」が、北朝鮮拉致事件容疑者の親族が所属する政治団体「市民の党」(酒井剛代表)から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」(以下、めざす会)に、計6250万円もの政治献金を行なっていたことを一面で報じました。
「市民の党」から立候補した親族とは、今年4月に三鷹市の市議会選挙に立候補して落選した、森大志氏のことです。彼の父親はよど号ハイジャック犯・田宮高麿、母親は80年にヨーロッパで石岡亨さんと松木薫さんを北朝鮮に拉致した容疑で警視庁から国際指名手配されている森順子です。
もちろん「両親がどんな罪を犯しても子どもには罪はない」のは当然ですが、森大志氏は成人するまで北朝鮮で暮らし、革命思想教育を受けたといわれます。日本で政治の世界に入ってなにを目指そうとするのか、疑問を抱かれても仕方がありません。
同じく「市民の党」所属の横浜市議2人は、02年に市議会本会議場で国旗を引きずり下ろそうとして守衛らと揉み合いになり、さらに本会議で議長席と事務局長席を占拠して6時間近くにわたって議事を妨害し続けました。
このように国旗を敵視し、日本という国を否定する政党と深い関係にある団体に献金する理由として、菅氏は「政治的に連携をすることによってプラスになると考えた」と述べました。日本に対する否定的な想いを抱いているという点で、菅首相と市民の党やめざす会の価値観はよく似通っているということなのでしょう。
菅氏は1989年、1980年に原敕晁さんを拉致し、1985年に韓国で逮捕され、裁判で死刑判決を受けた辛光洙の釈放要望書に署名しました。この要望書には、江田五月法相と千葉景子元法相らも署名しています。首相以下、二人の法務大臣が拉致実行犯のために助命嘆願したのが民主党政権です。異常な政府です。
菅首相は「よく知らずに署名した」と語りましたが、民主主義国家である韓国が民主主義の司法の手続きを踏んで死刑を宣告した犯人に関して、他国の国会議員が「よく知らないで」釈放嘆願をすることなどありえるでしょうか。もし事実なら、首相も二人の法相もあまりにもいい加減です。
※週刊ポスト2011年8月19・26日号