日本の音楽シーンを席巻するK-POP勢。彼ら、彼女たちは、いずれも高い歌唱力、ダンスセンスを持っているが、その秘密は「練習生」時代にあるといえる。
韓国の大手芸能事務所は自らオーディションなどを開き、練習生としてスター候補生を採用する。その後は事務所がレッスン代や食費を負担しながら、平均して2~3年、長くて7~8年ほどダンスや歌の厳しいレッスンを課し、完璧なアイドルになるまで徹底的に育成するのだ。韓国の芸能事務所「NHエンタテインメントメディアグループ(NHメディア)」の練習生にダンスを教える講師のパク・ヘリさんはいう。
「可能性を知るために厳しくレッスンしています。たとえば4人のグループで、ひとりでも振り付けを間違えたら全員ぴったりそろうまで何度もやり直し。いまK-POP界ではアイドルが次から次に出てきている状況なので、体力的にも精神的にも強くないと生き残れませんからね」
そもそも練習生になるのも大変だ。NHメディアの場合、半年に1回オーディションを実施し、プロが厳しい視点で審査する。キム・ミョンフン本部長がいう。
「多額の投資をして何年間も養成することになるので、ある程度のレベルの子をオーディションで選抜します。合格人数は決まっているわけではなく、数人いることもあれば0人のときもあります」
練習生の間は基本的に給料は支払われない。実力をつけると数人でまずグループを結成。その後は、心をひとつにしてチームワークを磨くため、全員で共同生活を送る。レッスンは歌やダンスだけではない。海外進出を視野に入れているため、語学にも力を入れる。
「まずは英語です。高校生までにデビューした場合、芸能活動をするときは学校の授業を抜けることもあります。子供たちを預かっている立場上、もし何かあって芸能活動ができなくなったときのことも考えて、英語の勉強をさせているんです」(前出・キム本部長)
英語と同じくらい重要視されているのが日本語だ。これからは中国語やフランス語も必要になってくるという。
「いまは日本で売れていますが、2~3年後も同じ状況である可能性は低い。そういった場合を想定し、今後はヨーロッパも視野に入れているわけです。言語を学ぶメリットは、話すことで親近感を持ってもらえるだけでなく、その国の文化を知ることができますから」(キム本部長)
※女性セブン2011年8月25日・9月1日号