見事サッカー女子W杯で優勝し、団体としては初となる国民栄誉賞を受賞したなでしこジャパン。そんな快挙を果たしたなでしこジャパンを、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之氏が、脳科学的観点から分析する。
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なでしこジャパン、世界一おめでとうございます。なでしこフィーバーが続いていますが、このフィーバーには、脳科学あるいは進化学の観点から興味を持てる注目点があります。
それは、目的や夢の重要性です。
いま希望が持てなくても「いつか希望が持てるに違いない」という希望をメタ希望といいますが、私たち人間は、希望を持って生きることを進化的な本質としています。19世紀のデンマークの哲学者キェルケゴールが「絶望は死に至る病」といった趣旨のことを述べていますが、これは科学的に正しく、この「病」の典型となる「うつ病」は、絶望にさいなまれ、自殺に至ることも稀ではありません。
なでしこジャパンの選手たちは目的と夢を常に持ち続け、目的を決してあきらめずに努力し続けました。これが人間の本質なのです。
女性は「あきらめない」という性質を男性より強く持っています。それは女性の役割に関係していて、例えば出産の途中で陣痛の痛みに耐えられずにあきらめるということはできません。そして、もし育児をあきらめたら子孫(子供)を残すことはできなくなってしまいます。
ところが男性は大昔、狩猟を役割(仕事)としていました。狩猟の場合はときに自分の命を守るため、あきらめることが重要です。むしろ、積極的にあきらめることで、狩猟の効率を高めたり、無駄なエネルギーを削減したり、生存率を高めたりします。つまり男性は、進化的にあきらめることにさほど抵抗を持っていないのです。したがって男性は、夢や目的があっても、状況によってあきらめるという傾向が強いといえます。
※女性セブン2011年8月25日・9月1日号