「面接」といえば「就職面接」を思い出す人は多いだろう。しかし、世の中にはAV監督が出演希望の女性と面談する「監督面接」もある。注目の新刊『SEX会話力』(小学館101新書)を上梓したAV監督の溜池ゴロー氏が、業界用語で「カンメン」と呼ばれる監督面接の内幕を語る。
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僕は作品を撮る前に、必ず女優と面接をします。
これを業界では「監督面接」といい、たいていは略して「カンメン」と呼んでいます。
AVの中には「カンメン」をシチュエーションに用いた激しい作品もありますが、あれはあくまでフィクションの世界。現実には監督とAV女優が2人きりになるなんて、ほとんどありません。女優にはマネージャーが付き添いますし、面接する側だって監督だけでなく制作主任が同席しています。ちなみに、熟女系のプロダクションには女性マネージャーが多いですね。
単体の人気女優になるとメーカーからプロデューサーをはじめいろんなスタッフが来るし、狭い事務所が関係者でいっぱい、なんて状況で面接をすることもあります。
余談ついでにいうと、僕は面接の場で女優に裸になってもらいません。あらかじめ、プロダクションが彼女のヌード写真を用意してくれています。これを業界では「宣伝材料」、またもや略して「宣材」と呼びならわしています。宣材を見れば、わざわざ裸になってもらう必要はありません。それに、スタジオに入るとスッポンポンになるんですし。
それに、面接はオフィスで行います。ということはパーテーション、あるいはドアの向こうでスタッフが業務につき、ひっきりなしに電話が鳴っています。お客さんや出前、宅急便、セールス……いろんな人がどんどん出入りしています。そういう「日常の場」で服を脱ぐというのは、やはり尋常なことではありません。スタジオやホテル、ロケ現場では女優魂にスイッチが入って全裸になれるAV女優でも、普通のオフィスで自分だけがすべてをさらすのは抵抗が大きいものです。
もっとも、カンメンで裸を確認していないせいで、ちょっとした騒動が起こることもあります。
現場で初めて実際に裸になってもらったものの、宣材に書いてあるスリーサイズが昔のもので(あるいはバストとヒップを過大に、ウエストを過少に申告してある)、スタイリストが用意したセクシーな下着や服が着られない。そういうことが、年に何度かあります。仕方がないので、無理やり身体のほうを服やランジェリーに合わせてもらうことになります。