ライフ

芥川賞作家「ネットで格差社会恨む人は努力してないだけ」

西村賢太氏連続インタビュー

芥川賞作家・西村賢太氏はネット界で絶大な人気を誇る。中卒で働いてきて44歳で芥川賞受賞。「格差社会のヒーロー」という呼び声に本人はどう考えているのか。連続インタビューの第2回。(聞き手=神田憲行)

--西村さんの生い立ちから、「格差社会のヒーロー」という見方があります。

西村:うーん、ネットで格差社会恨んでいる人って、たんに努力していないだけでしょう(笑)。自分なりの努力をしていない。ネットにかじりついている暇があったら窓をあけて外の世界を眺め、自分の胸に手を当てて越しかた行く末について考えた方が良いんじゃないかな(笑)。

--すいません、怠け者の北町貫多のモデルのお言葉とは思えませんが(笑)。

西村:いやいや、貫多も僕も努力できない人間なんですよ。だからわかるんです。

それに小説界も格差社会ですよ。小説の実力云々というより、上の引きとか作家同士の関係性で小説の判断がされてしまう。誰が気に入るとか気に入らないとか、それだけで小説の格差が付けられるのが、ここ10年くらい顕著ですね。

発言力ある作家は徒党を組み、配下の作家を推して、自分が興味のない作家については編集者に「あれはダメだ」とかささやく。それが小説の格差を生み出している元凶になっているし、実際僕自身もいろいろいわれています。そういう読者不在の雰囲気って違うんじゃないのかなと思いますね。

芥川のときも、選考委員の中には選評で僕について一言も触れていない人がいました。要するに「俺は認めないよ」という意思表示ですね。僕のことを面白くないのは人それぞれですが、その往生際の悪さは不快であることはたしかです。でもテレビでその作家の悪口をいうと全部カットですから(笑)。

--意外と評判を気にされる?

西村:いちいち腹立っていますよ(笑)。批判した作家や自称評論家は一生恨みに思いますしね。執念深さにはおいては、人後に落ちない自信があります。

だから今までの恨みのある奴は必ず小説のなかでdisるようにしているんです。見た目の描写とか、わかる人にだけわかるように仕掛けを作って。主人公の台詞に仮託して、あからさまにそいつを批判するということもよくやっています。

相手は編集者とか作家・評論家とか……その芥川賞のロンパリ元選考委員はこれからですね!たっぷりと楽しませてもらいます。

--そんな禍々しいこと明るく言われると逆に怖いです(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン