放送開始から58年、2011年7月24日にアナログ放送が終了し、テレビはひとつの時代を終えた。シリーズ「あの頃のテレビはすごかった」――ここでは昭和の時代に瞬間最高視聴率が95%を超えた、2つの歴史的な試合を振り返ろう。
一つめは、昭和29年におこなわれたボクシング・白井義男とパスカル・ペレスの試合だ。
白井義男は昭和27年に日本人初の世界フライ級王者となり、以後4度の防衛を果たした。海外のボクサーを破る彼の雄姿は戦争に負けた日本を勇気づけるものだった。5度目の防衛をかけたペレス戦は負けたものの、瞬間の視聴率は96%を超えたといわれるほど世間の関心をさらった。
二つめは、昭和39年の東京五輪でのこと。テレビの発展はオリンピックと共にあるといっても過言ではなく、五輪が初めて世界に中継されたのはこの東京五輪から。この大会では、スロー再生や接話マイクなど日本のテレビ局の新技術が総動員されており、“テレビオリンピック”ともいわれた。
当時はまだカラーテレビの普及率は低かったが、聖火台に火が灯された開会式や人気競技はカラーで中継。特に金メダルを獲得した“東洋の魔女”こと女子バレーボール代表は抜群の人気で、決勝の日本対ソ連は瞬間最高視聴率が95%にまで達したといわれる。
※週刊ポスト2011年8月19・26日号