投資で億万長者を目指すには、どこに投資すればよいか? 成長力の高い新興国への投資がその近道だと考える人は多いだろう。では、まだ注目度の低い魅力的な新興国はどこにあるか? 新興国投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が、「投資で1億円」実現のためのノウハウと、注目の「ネオ新興国」を紹介する。
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投資で1億円を築くことは容易ではないが、決して不可能なことではない。あくまで実例として、まず私自身の経験をお伝えしたい。
1995年に社会人になった私は「1億円貯める」という目標を立て、200冊以上の株の本を読み漁り、ようやくひとつの必勝法を見つけた。それは、まだ注目の薄い成長の初期段階にいち早く投資して保有し続けるという方法だった。
たとえば、かつての日本でも、ソニー株を店頭公開時に約14万円で手に入れ、持ち続けているだけで26億円以上もの資産を築くことができたし、日経平均株価も1949年の算出開始以来、バブル期の最高値時には221倍にまで膨らんでいる。過去に遡って投資することはできないが、かつての日本と同じような状況にある新興国の株を買えば不可能ではない。そう考えた私は中国株に注目。10年ほどで当初の目標を達成することに成功した。
もちろん中国株にもまだまだ有望な銘柄は存在するが、注目度の低い新興国に目を凝らせば、魅力的な投資先は多い。世界経済の動向に目を転じても、欧米先進国が不安視されるなか、中国やインドの急成長により、アジア周辺国にビジネスチャンスが拡大していることはいうまでもないだろう。
その勢いと歩調を合わせるかのように、アジアでは新規市場が続々と開設され、今後も開設予定が相次いでいる。
市場開設当初というのは、どこの国でも同じように、上場銘柄数が少ないところに外資や地元マネーが殺到するため、バブルになりやすい。かつての中国市場はまさにそうだったし、2000年7月に取引を開始したベトナムでも、その後わずか1年で株価指数が6倍近くまで膨らんでいる。
今年1月にオープンしたラオスでは、取引開始から2か月で2倍まで急騰したが、そもそも人口が少なく、国内の富裕層が少ないこともあって、その後は資金流入が続かず、残念ながら株価指数は低迷している。
そして現在、熱い注目を集めているのが、この7月に株式市場が開設されたカンボジアだ。現在3社ほどが上場準備を進めている段階で、実際の取引開始は11月か12月ごろを予定しているという。
そんなカンボジアに私は飛び、首都プノンペンが想像以上に発展していたことを目の当たりにしてきた。
何度も訪問しているお隣のベトナム同様、街にはバイクと人が溢れかえっていたが、最も印象的だったのは、街中にある看板に韓国語や中国語、英語、ベトナム語などさまざまな言語が入り交じっていたことだった。それだけを見ても、この国がベトナムやラオスに比べて、外資に大きく門戸を開放している様子が窺えた。
流通している通貨も現地通貨のリエルは20%ほどで、残り80%は米ドルだという。また中国などと違い、外資が進出する際に現地企業との合弁が必要になるような規制もない。そのため、外国からの資金が流入しやすく、不動産価格もここ数年で3~4倍になり、地元の富裕層が増え続けているそうだ。輸入に対する関税率も低いため、街中に高級外車が溢れていた。
国内最大手の銀行傘下の証券会社を訪ねた。同社社長によれば、「ラオスは人口も少なく、国の規模も小さい。一方、カンボジアは規模が大きいだけでなく、外資に大きく門戸を開いているので資金導入が容易。ラオス株は急騰したが、カンボジアはそれ以上の上昇が期待できる」とのことだった。
その言葉は素直に受け止めてもよいだろう。外資が入りやすいうえに、地元の富裕層が多数存在する――このような株価上昇の条件がすでに整っている以上、株式市場が本格始動したら凄いことになるのではないか。思わずそんな気持ちにさせられる視察だった。
※マネーポスト2011年9月号