後半戦が始まった球界に大きな変化が起きた。統一球の影響で、あれほど貧打に喘いでいた巨人が、急に打ち始めたのだ。セ・リーグの選手たちは口々に語る。
「そういえば後半戦になって、東京ドームの打球が飛ぶようになってないか?」
8月13日の巨人×広島戦で象徴的なシーンがあった。8回、長野久義が放った打球は、センター・丸佳浩の頭上を越え、決勝の三塁打となった。丸は前進守備だったが、試合後、「目測よりもかなり伸びた」と語った。野球解説者の広澤克実氏が頷く。
「2月のキャンプで見た頃に比べて、今の打球の飛びはまったく違います」
今年はセ・パ両リーグで使用球が統一され、全試合でいわゆる「飛ばないボール」が導入された。そのため各球団の打撃成績は軒並み低下した。ところが8月に入って、その状況が変わりつつあるという。
特にその変化が顕著なのが巨人である。1試合当たりの本塁打数は7月までの0.68本から8月以降は1.42本と、8月になると以前の2倍以上になっている。
夏場は投手の負担が大きく、シーズンの疲れがたまり始める時期なので、例年「打高投低」になるとされる。ならばと昨年の数値と比較してみたが、それでも昨年は7月までが1.65本、8月が1.76本であり、今年の巨人の8月は異常である。
さらにもう一つ。「巨人が5点以上取った試合数」を比較したものだが、7月までは大量得点の試合が激減(2010年52.2%→2011年15.0%)していたが、8月になった途端に昨年の水準(2010年53.8%→2011年58.3%)に戻っているのだ。
※週刊ポスト2011年9月2日号