「金価格、最高値を更新」「原油続伸、3か月ぶり高値」――。新聞やテレビのニュースで金や原油の値動きについて見聞きすることも多い。とくに2008年リーマン・ショック以降は、金や原油をはじめとする商品相場の上昇が大きくなっているから、投資対象として考えている人も多いのではないだろうか。
金や原油に投資する方法はいくつかの手段があるが、初心者にはハードルの高いものが多い。しかし、CFD(差金決済契約)の普及によって、誰でも簡単に金や原油に投資が可能になっている。たとえば、金の投資手法には大きく分けて【1】純金積立など現物投資、【2】金のETF(上場投資信託)、【3】商品先物、【4】CFDの4つがある。
【1】の現物投資は、純金積立をしたり、金の地金を買ったりする方法だ。現物投資は、金の現物を手にできるというメリットがあるものの、買値と売値の差(スプレッド)が大きいため、投資効率が悪い面がある。大手貴金属会社の場合で、1グラム当たり70円程度のコストがかかる。率にすると1.7%程度だ。
【2】のETFは比較的手数料が安く売買しやすいのがメリットだが、売買できる時間が限られている。
【3】の商品先物は、レバレッジが利用できるので少額でもチャレンジ可能だが、海外の商品に投資できない、取引時間が限られているなどのデメリットがある。
その点、CFDは多くのメリットを備え、初心者でも簡単にチャレンジできる。実はFX(外国為替証拠金取引)もCFDの一種だから、FX経験者なら、さらにストレスなく取引を開始することができる。
CFDで世界トップの営業収益を誇る英国IGグループ。その一員であるIGマーケッツ証券のマーケティング部部長・水野浩一郎氏はメリットをこう語る。
「金のCFDは24時間取引できますから、サラリーマンの方でも家に帰ってからじっくり投資することができます。とくに日本時間の夜は、ニューヨーク市場とロンドン市場が開いているので、取引が活発。チャンスを狙いやすい時間です」
取引コストが安いのもメリットだ。IGマーケッツ証券の場合、取引手数料が無料。さらにスプレッドも取引期限のないスポット金(円建て)で2円。つまり、予想した方向に3円以上の値動きがあれば、利益が得られることになる。
レバレッジが利用できるのもCFDの魅力。金のCFDの場合、最大20倍まで取引できる。レバレッジを利用すると、ハイリスク・ハイリターンになるため、リスク管理は重要だが、少額からでもチャレンジできるのは大きい。
デメリットとしては、長期投資には向かないということ。たとえば前述のスポット金の場合、ポジションを保有している間は、日々金利負担が発生する。投資期間が長くなればその分、金利負担が積み重なっていくので、注意が必要だ。ただし、翌日まで持ち越さなければ、金利負担は発生しないので、短期投資向きの商品といえるだろう。
金だけでなく、原油もCFDの利用で手軽に投資をすることができる。
「原油には金のような現物取引がありませんし、商品先物で取引できるのは中東の原油です。しかし、世界の主流はニューヨークに上場されているWTI原油。CFDならWTI原油に簡単に投資することができます」(水野氏)
新聞やテレビのニュースでよく見かける原油の値動きもWTI原油の場合が多いから、投資対象が同じであるほうが分かりやすいだろう。
また、CFDの取扱銘柄の中で原油の人気は非常に高い。以前は値動きが分かりやすいということで、世界の株価指数を対象としたCFDが人気だったが、最近の主流は原油だ。
「現在は原油と金の取引量が増えています。とくに原油は5か月連続で1位を記録するほど人気です」(水野氏)
IGマーケッツ証券の場合、2010年の平均と比べると2011年の原油CFDの1日当たりの取引量は約30倍になっているという。
金や原油に投資するなら、CFDが強い味方となりそうだ。
※マネーポスト2011年9月号