65歳からの4年間で、直腸、左肺、右肺、肝臓の一部摘出をしたジャーナリストの鳥越俊太郎氏。がん患者は何を食べ、どんな心構えの生活をすれば、苦しみや不安を減じて前に向かえるのかを、作家の山藤章一郎氏が鳥越氏に聞いた。
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鳥越氏の食事メニューは簡明である。
朝は決まっている。どんぶりいっぱいのヨーグルトに、スライスしたバナナ、はちみつを入れる。あとは、クロワッサンと、自分でドリップしたコーヒー。これだけ。
昼は食べない。会食などでやむをえなかったときは、夜を減らす。
夜は、キャベツ、ブロッコリー、トマト、アボカドなどに鶏肉のササミを混ぜたサラダ。他には、たまに刺身、小魚、とろろなど。肉とごはんは基本的に食べない。
酒は飲まない。キリンのフリー。といっても、「性格がノーテンキにできているから」誘われるとたまにはステーキも食う。
「あとダメなもんあったかなあ。ああ、マグロだ。大きな魚は有機水銀を蓄積させています。マグロはサバを食う。サバはアジを、アジは小魚を、小魚はプランクトンを、でしょ。食物連鎖ですね。最後にマグロに来るんですよ」
肉は鶏、しかも脂のないササミ。炭水化物は避ける。
鳥越さんの体は、ほぼ30年近く前から谷美智士日本東方医学会名誉会長が診てきた。診療所は東京・有楽町にある。谷氏もいう。
豚、牛、馬の肉は食べるな。魚は季節ごとに近海で獲れるもの、野菜は有機農業で育てられたものにせよ。酒とたばこはやめよ。
「そして適度な運動をして、6~7時間の睡眠をとってください。クヨクヨしないことも大事です。精神的なストレスを抱えている人は、脈診すると、がたっと免疫機能が落ちています」
※週刊ポスト2011年9月2日号