今年のプロ野球界に大きな変革をもたらしたのがセ・パ統一球の導入。前半戦、1試合あたり0.68本の本塁打しか打てず猛烈な打撃不振に苦しんだ巨人ナインだが、8月以降は1.42本と復調。その背景には、各選手が統一球対策に知恵を絞っていた事実もあった。たとえば高橋由伸は、練習に軸足となる左足を浮かせて右足1本で打つティー打撃を導入した。
「統一球でも本塁打を量産しているのは、西武の中村剛也や外国人選手など体重が重い打者ばかり。そこで“逆一本足打法”で打球に体重を乗せようとしている」(巨人担当記者)
8月に入って5本塁打と成績を残しており、一定の効果はあるようだが、「スイング改造で持病の腰痛が再発するのではないか」(野球評論家)と心配する声もある。
依然として光明が見えない主砲のラミレスはバットの改良に乗り出した。人一倍道具にこだわることで有名なラミレスは、今年は統一球に負けないよう昨年より10g重いバットを導入。しかしこれが裏目に出たため、今度は昨年より10g軽く短いバットを発注した。
あるバットメーカー関係者が明かす。
「ラミレスの失敗を教訓に、巨人の選手から“飛ばないボール対策バット”の研究を依頼されているメーカーがあると聞きます。長さや重さは変えずに、ヘッド部分に重心を移して、スイングの遠心力を高めているらしい」
そんな中、精神論に救いを求めたのがキャプテンの阿部慎之助。8月6日に、「高校野球に刺激を受けた」といって丸刈りにしたところ、そこから6戦4発の大当たり。ただ、チームメートにまで坊主頭にするように求めたため、「それを嫌がる若手からは“坊主になってホームランを打てりゃ苦労しないよ”と煙たがられている」(巨人番記者)とか。野球解説者で巨人OBの広澤克実氏が語る。
「飛ぶようになった理由は、選手のミート率が良くなったのか、気温や湿度などの環境の変化によるものなのかはわからないが、巨人選手がようやく対応できてきたのは間違いない」
理由はどうあれ、Bクラス確実といわれていた巨人は打棒復活とともにいつのまにやら5割に復帰。球界きってのエリート集団だからこそなせる業!?
※週刊ポスト2011年9月2日号