職場のパワハラやいじめ対策で厚労省が初会議を開くなど、いじめの問題は増加傾向にある。特に女の職場のいじめは壮絶で、過去の例を見ても、たとえば1988年には主婦で元保険勧誘員のSさん(29)は、「すさまじい戦場血戦」を編集部に告白している。子供がいなかったこともあり声をかけられて気軽な気持ちで仕事を始めたが、いじめられてすぐに会社をやめてしまったという。(女性セブン1988年8月11日号より)
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本来なら、朝9時出社、6時退社。(勧誘先への)直行直帰が認められているのは月3回なんですが、私の場合、順調にノルマをあげていたことで、所長がタイムカードを押しておいてくれて、ほとんど朝礼をパスしていました。これがどれだけみんなの反感を買っていたか、会社勤めの経験のない私には思いもよりませんでした。
営業所に貼ってある成績の棒グラフもトップクラスになったころ、ほんの親切のつもりで、成績があがらず所長に注意されていた同僚に、つい、「私のお客さんの契約を分けてあげましょうか」とみんなの前でいってしまったんです。そしたらその人は、
「なによ! あなたなんかダンナの紹介がなければなにもできないくせに大きな顔しないでよ!」
その日を境に、みんなの私への冷たい態度があからさまになってきたのです。ある日、お客さまに会いに出かけたら、洋服がにおうんです。それがニンニクの強烈なにおい。時間が迫っていたのでそのまま行ったんですが、お客さまの会社の部屋にはいると、たちまちそのにおいが充満。ほうほうの体で引きあげました。
営業所に帰って、ハンガーに服を掛けようとしたら、なんと、ハンガーに、おろしニンニクの汁がべったりと塗ってあったんです。その日は私、シャネルのスーツを着ていて、それが悪かったのね。
それからはもう意地悪の連続。トイレにはいっているとき外から鍵が壊されて出られなくなったり、どしゃ降りの日に傘を隠されたり、印鑑とか仕事に必要な備品類もいつのまにかなくなっているんです。
よくストッキングが伝線するんで、「おかしいな」と思っていると、スチール製の椅子なんですけど、ちょうど足が触れるところがナイフで削ってあって、伝線しやすいようになっていたんです。
また、私のお客さまがきたとき、「お茶をいれといたわよ」なんて親切にいってくれるので、それをそのままお出しすると、コーヒーの中に化学調味料やガーリックパウダーがはいっていたりと大変なんです。