震災後の自粛ムードで、今年は東京でも夏の風物詩「東京湾大華火祭」や「浅草サンバカーニバル」が中止になった。「自粛」とは「自ら慎むこと」。お喋りな奥様に自粛を望むご主人の心境を「妻の口 一度貼りたい サロンパス」と詠んだ漫談家の綾小路きみまろのもとには、あらゆる夫婦のエピソードが、メールや手紙で続々と寄せられている。今回は、ご主人(46歳)が資材メーカー勤務の奥様(46歳)の自粛要請だ。
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主人の帰宅時間は不規則なので、夕食は私と娘たちが先に済ませますし、休みの日も、娘たちは食事を済ませるとすぐに自分の部屋に入り、友達とメールのやりとりをしています。
ある日突然、主人が強い口調で「食卓は家族団らんの場であり、会話する場所なんだ。食後すぐのメールは自粛しろ! せめて1時間は話し合うこと」と命令し、食卓を立とうとした娘たちも座り直しました。
満足そうにうなずいた主人は「まずはパパに何でも質問しろ。『原子力発電は是か非か』とか、分かりやすく解説するから」。
すると長女が「KARAの解散騒動って、結局何が原因だったの?」と質問し、主人は「カラ? 昔の中国の唐か?」と私に聞く始末。
「Kポップのグループのことよ」というと、「知らん!」。
今度は娘が「じゃあ、AKB48のメンバーだと誰が好き?」と聞くと、「何だ、そりゃ?」。私が「アイドルの名前をいえばいいの」とアドバイスすると、「まァ、どっちかといえば、ミーちゃんかな」だって。それはピンク・レディーでしょ!
娘たちが「パパって、何も知らないんだね」というと、「お前たちの質問の内容が悪いんだ! 再生エネルギー法案とか、ちゃんとした質問があるだろ。芸能関係の質問は中止!」と怒り心頭。娘たちは呆れ顔で部屋に入っていきました。
アナタ! 娘たちにこれ以上嫌われないためにも、家長風吹かしての命令口調を自粛したらどう?
※週刊ポスト2011年9月2日号