夏の間にできるだけやっておきたいこと――。いろいろあるが、冷やし中華はたくさん食べたい。『希須林青山』(東京・南青山)の絶品冷やし麺を、グルメ雑誌『アリガット』誌の元編集長・小川フミオ氏が紹介します!
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冷水で揉んだ麺に、酸味とほのかな甘みのあるタレ。それに季節の具材。これこそ、日本で暮らす喜びだ。店ごとに個性があるのも食べ歩きを楽しくしてくれる。表参道の交差点という、日本でも有数の繁華街にある隠れ家的な名店『希須林(きすりん)』。
ここの冷たい麺がうまい。北欧家具が並ぶ清潔な店内と、ていねいな接客、そしてやさしい味の料理にファンは多く、特に「冷やし坦々麺」のおいしさは夏バテしそうな体にしみ通るような一品だ。
鶏ガラをベースに、練りゴマと芝麻醤(チーマージャン)と醤油で味つけしたタレ。そこに細麺と牛と豚の粗挽き、さらに豆苗(トウミョウ)と、中国版高菜漬けのような芽菜(ヤーツァイ)とカリッと揚げた桜エビがのる。さらに一味唐辛子、朝天(ちょうてん)唐辛子、そして四川山椒で作った麻辣醤(マーラージャン)がほどよい刺激に。酸っぱすぎず、甘すぎず、辛すぎず。バランスのよさは出色。
「毎シーズン、どんな冷麺を楽しんでいただくか頭をひねるんです」(遠藤義治料理長)というだけあって、夏のありがたさを感じさせてくれる、美味だ。
■『希須林青山』の「冷やし坦々麺」1300円
【住所】東京都港区南青山5-1-25 メゾンドラミア2F
【営業時間】11~15時(LO)、17時半~22時半(LO)。土日祝は11~22時半(LO)
【定休日】年末年始
【カード】可
東京・阿佐ヶ谷で中華料理のシェフが店を開いたのがスタート。現在は5軒あるが、各店の独立性は高く、青山店は1993年に開店。冷やし坦々麺は青山店のメオリジナルメニュー。ランチは「日替わり(1050円)」や名物「黒酢酢豚(1680円)」を含めて種類が豊富。夜はコース(1人3500円)やアラカルトも楽しめる。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2011年9月2日号