東日本大震災を契機に、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築・中古分譲マンション市場には、どのような変化が起きているのか、今年下半期以降の市場はどう動くのか、東京カンテイの市場調査部主任研究員の井出武氏が解説する。
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今年下半期以降の首都圏のマンション市場は、どう動くのか。今後を占う上でひとつの指標となるのが、今年9月以降に販売を予定している新築マンションの販売動向だ。その価格や売れ行きによって、価格水準や、マンション需要がどの程度回復したのかが、ある程度把握できるだろう。
阪神大震災の際、兵庫県では、液状化の被害を受けたエリアとそうでないエリアとの間で大きな価格差が生じた。液状化被害を受けたエリアのマンションでは、震災から半年後に価格が急落し、震災前の価格水準に回復するまで3年を要した。
今回の震災で液状化が起きたエリアは首都圏のごく一部であり、首都圏のマーケットを一変させてしまうほどのインパクトはないと考えられるが、液状化の被害を受けた物件や、地震によってインフラが損傷したエリアに関しては、プライスダウンせざるを得ないだろう。価格はいずれ適正な水準に戻ると考えられるが、回復までにある程度の期間を要することは間違いない。
一方、同じ湾岸エリアでも、液状化現象がほとんど見られなかったエリアに関しては、「液状化対策がしっかりと施された安全な埋立地」という点をセールスポイントにして、早い時期に計画再開が決定されたり、人気が出たりする可能性もある。
いずれにせよ、湾岸エリアには、都心部への交通アクセスの利便性や、城南エリアや城西エリアなどのブランド住宅地に比べて価格が割安といった絶対的な優位性がある。消費者が震災後のショック状態から脱し、冷静な目でマンション購入を考えられるようになれば、湾岸エリアの需要も回復していくだろう。
※マネーポスト2011年9月号