8月21日、俳優・竹脇無我は67年の生涯に幕を閉じた。死因は小脳出血による急死だった。 壮絶な闘病生活、そして死への強い誘惑からの生還――。その陰には、“内縁の妻”とも呼べる女性の存在があったようだ。竹脇と親交のあった近隣住民がいう。
「一緒に暮らす女性は40代くらいの方で、家を引っ越すときも彼女の名義で借りてもらったみたい。でも『娘がいるから結婚はしない』と竹脇さんは話していましたね。しっかりした女性でね。葬儀のときはずっと涙をためていたけど、取り乱すこともなく、皆さんにお礼の挨拶をしていたそうですよ」
竹脇は糖尿病を患っていたが、白内障手術のためにお酒を断ち、本格的な復帰に向けて体調を整えていた。友人には来年1月に出演が決まっている忠臣蔵の舞台の話を楽しそうに話していたという。
「『顔のシミ取りをしたんだよ』って、頬を見せてくれました。私が『まだまだこれから一花咲かせないとね』っていったら、『うん!』って笑っていたのに……本当にもったいない」(同)
病を乗り越え、死と徹底的に向き合いながら、竹脇は役者として生きる意味を改めて_みとっていたのかもしれない。新たなステップを踏み出そうとした矢先の、あまりにも無念な死だった。
竹脇の最期に病院にかけつけた都内教会の牧師がいう。
「臨終のときは内縁の女性が私を病室に呼んでくれてね。枕元には2人のお嬢さんがついていました。無我さんの頬やおでこを触って、ゆっくり父の死を納得していった様子でしたね」
シミを取ったその顔は、往年の二枚目ぶりを彷彿とさせる、非常に綺麗なものだったという。
※週刊ポスト2011年9月9日号