国内

子ども手当 高齢者票期待できないのに導入したのは画期的

 民主・自民・公明は、来年4月から子ども手当を廃止し、自公政権時代の児童手当を復活させることで合意した。子育てをしていない8割の世帯にとって、「子ども手当」のような手厚い支援策は「ズルい」という印象を与えてきた。しかし、実は彼らにこそ、この制度は大きなメリットがあった。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が重要な視点を提示する。

 * * *
 子ども手当について、子供のいない人は損だという指摘があるが、そもそもあらゆる社会保障制度には“もらえない人は損”という面がある。医療費にしても一般の方が支払う保険料の3分の1は高齢者の医療費に使われている。それが「社会で支え合う」ということだ。

 さらに、子ども手当に関しては、これが少子化対策に効果を発揮するならば、社会保障の維持にもつながる政策となる。

 少子化はありとあらゆる社会保障制度に悪い影響を与える。特に年金制度への影響は大きく、現状では現役2.6人で1人を支えている状態だが、2050年には1.1人で1人を支えなければならないという試算があり、このままでは確実に破綻する。

 子ども手当で少子化が改善されれば、結果的に子供がいない方も年金などの形で恩恵を受け、国民全体のメリットになるのだ。現代の子供たちが社会人となれば、自分の親だけでなく、子供のいない高齢者の年金も支えなければならない。その子供たちを「社会で育てる」という発想には間違いはない。

 今までの社会保障制度が高齢者に厚く、子供など若い世代に薄かったのは事実。理由は、票に結びつかないからといわれてきた。そう考えると、子ども手当という政策は、画期的なものと評価できる。

 確かに育児休業や保育所・幼稚園の問題など解決されていない問題は他にも多くあるが、すべての子育て世帯に現金給付という新しい段階に踏み込んだだけでも大きな前進だった。社会保障制度は長期間行なうことで効果が出てくるので、継続が大切。特に少子化対策は1、2年で止めるべきではない。

※週刊ポスト2011年9月9日号

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン
上白石萌歌は『パリピ孔明 THE MOVIE』に出演する
【インタビュー】上白石萌歌が25歳を迎えて気づいたこと「人見知りをやめてみる。そのほうが面白い」「自責しすぎは禁物」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《お泊まり報道の現場》永野芽郁が共演男性2人を招いた「4億円マンション」と田中圭とキム・ムジョン「来訪時にいた母親」との時間
NEWSポストセブン