昭和30年代から40年代にかけて日本中は切手ブームに沸き、「雨中湯帰り」という切手が発売された時など、発行日の東京中央郵便局には8000人が並ぶ騒ぎとなった。「月に雁」や「見返り美人」などのお宝切手は今でも高額で取引されているが、切手の世界にはそれ以外にも価値を生む特殊なルールがあるのをご存知だろうか?
例えば、切り離しやすいように切手の周囲にあけられた「目打ち」。同じ図案でも目打ちがないと値段は高くなる傾向があり、「こどもの笑顔」(昭和24年発行)では、「目打ちあり」が1200円であるのに対して、小型シートから切り離した単片は5000円になる。
一方、使用したことを表す「消印アリ」が価値を生むこともある。昭和30~40年代、切手の値上がりを期待して未使用のまま記念切手を保管する人が多く、当時は実際郵便に使われた記念切手は少ない。発行当時の消印が読める「ガールスカウトと世界連盟旗」という切手の場合(昭和38年8月1日発行)、未使用の価格(50円)に対し、「消印アリ」は200円となっている。
そして、超高額となるのがエラー切手。逆さまに印刷された竜文切手500文(明治4年発行)の場合、この“エラー切手”が40枚印刷され1枚だけ現存していることがわかっており、10数年前、ある切手業者が日本人の所有者に1億数千万円で交渉したところ、断わられたというエピソードもあるほどだ。
※週刊ポスト2011年9月9日号