『ジョークで読む国際政治』の著者でジャーナリストの名越健郎氏はジョークに対して非常に造詣が深い。そんな名越氏から中国高速鉄道にまつわるジョークを教えてもらった。
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死者40人を出した中国浙江省温州市での高速鉄道衝突事故で、中国鉄道省高官がコメントした。
「これで高速鉄道がわが国の独自技術であることが立証された」
中国鉄道相が記者会見した。
「それでも、中国版新幹線の技術特許取得を目指しますか?」
「当然だ。あれだけの衝突事故でも、放射能流出はなかった」
「いつか大事故を引き起こす」と内外の専門家が抱いていた危惧が、早々と現実化した。数年で総延長1万kmに及ぶ高速鉄道網を築いた中国だが、連日のように故障が続き、手抜き工事や汚職疑惑も発覚。安全面の不安が高まった矢先の事故だった。
高速鉄道事故では、遺族やメディアが真相究明を要求して政府を追及。各地で反政府デモが起き、当局の対応を皮肉るジョークがネットで流れるなど、国民の権利意識を高めた。 政府は賠償金を91万5000元(約1100万円)につり上げたが、通常の事故の賠償金はその2割以下だけに、低所得者層の恨み節も。中国社会の底流の変化が噴出した形だ。
※SAPIO2011年9月14日号