1ドル=70円台後半で推移する現在の「超円高」は、いつまで続くのか。為替動向に詳しい酒匂隆雄氏(酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表)は、こう見る。
「米国2年もの債券の利回りとドル円相場のチャートを比較すると、ほぼ連動していることがわかる。米国債の利回りは現在0.2%前後と史上最安値圏で推移しているが、これがゼロになることはない。
つまり、これを見る限り、円高がそろそろ底を打つ可能性は高まっているといえます。そもそも現在の円高水準は、消去法で円が買われているに過ぎず、日本の経済情勢を考えれば、これ以上理不尽な円高は続かない。おそらく2年以内には1ドル=90円台まで戻るのではないか、と私は見ています」
安値で買って高値で売るのが投資の鉄則である以上、現在史上空前の安値にある外貨を今のうちに仕込んでおくことが虎の子の資産を殖やす近道かもしれない。
そこで具体的な投資先としては、円安反転直前ともいえる割安な「米ドル買い」で今後の為替差益を狙うのが王道だが、酒匂氏はさらに「豪ドル」と「ニュージーランドドル」を挙げる。
資源国であるオーストラリアはもちろん、ニュージーランドも2月の大地震後に成長率が大きく落ち込まなかったことからもファンダメンタルズが強く、酒匂氏は「今後3年で見れば、現在80円近辺で推移する豪ドルは100円台、同じく60円台で推移するニュージーランドドルは80円台まで上昇したとしてもおかしくない」と見る。
いずれも今後の通貨高が見込めるうえに、「高金利」が魅力的だという。
「米ドルではほとんど金利がつかないが、豪ドルなら5%、ニュージーランドドルは2.5%という高金利が期待できる。FXの場合、これを日割り計算したスワップポイント(金利差調整分)がつくため、豪ドルなら1万通貨当たり100円以上、ニュージーランドドルでも40円前後が毎日付与されるので、塵も積もれば山となるでしょう」(前出・酒匂氏)
※週刊ポスト2011年9月16・23日号