認知症の約6割を占めるのが、アルツハイマー型。今年、10年ぶりにアルツハイマー型認知症の新しい治療薬の処方が始まった。
新薬は、のみ薬の『レミニール』(ヤンセンファーマ・武田薬品)と『メマリー』(第一三共)、パッチ剤の『イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ』(ノバルティスファーマ/小野薬品。販売元によって商品名が異なる)の計3種類。
すでに大きな効果を発揮しているが、いずれも認知症の症状を軽減して進行を遅らせるものであり、根本的な治療薬ではない。今後は、根治につながるワクチンの開発に、注目が集まっている。この分野の第一人者である順天堂大学大学院の田平武教授が解説する。
「現在、体内に抗体をつくってβアミロイドの蓄積を防ぐワクチンの開発を進めています。注射するタイプは脳炎などの副作用が出ることがわかっているので、のむタイプのワクチンを目指しています。注射より痛くなく、免疫効率がいいのでお年寄りにも効くはずです」
アルツハイマー型認知症の原因はまだはっきりわかっていないが、βアミロイドというたんぱく質が脳内に蓄積することで、脳内の神経細胞が衰えて発症するという説が有力だ。このワクチンは、そのβアミロイドの蓄積を防ぐというわけだ。
しかもこのワクチン、βアミロイドが脳内にあまり蓄積していない50代から接種すれば、認知症の発症を未然に食い止める効果も期待できるという。
「すでにサルでアミロイド除去のテストが成功し、人間に投与する治験先を海外で探している段階です。早ければ5年以内に製品化されることを期待しています」(田平教授)
5年後には、認知症は「防げる」「治る」病になっているかもしれない。
※女性セブン2011年9月15日号