いくつになっても背筋がピンと伸びた凛とした佇まいは、遠目に見ても若々しく美しいが、そんな姿勢は意識して筋肉を使わねば維持できない。
鏡やショーウインドーに映った、力なく背中や膝が丸まった姿に、思わず背筋を反り返して苦笑…ということも、年を重ねるごとに増えてくる。それなら筋肉を鍛えればいいのかというと、必ずしも筋肉だけが原因ではなく、骨自体の老化がかかわっていることもあるという。
「骨の中がスカスカになる『骨粗しょう症』という病気が原因で、背骨の一部がつぶれる圧迫骨折が起こると、背骨が曲がって猫背になったり、身長が縮んだりします」というのは、女子栄養大学栄養生理学研究室教授で、骨粗しょう症予防など、栄養と骨量に関する研究の第一人者でもある上西一弘さん。
「骨は硬い塊のように見えますが、実は食品などからカルシウムを取り入れて新しい組織を作り、古い組織を壊していくという“代謝”が行われています。幼少期から18才くらいのピークまでに骨内部の密度(骨密度)は充実しますが、それ以降は緩やかに代謝が衰え、骨密度が減ってもろくなり、骨折しやすくなります」(上西さん)
特に女性の場合は、骨密度の低下を防いでいる女性ホルモンが閉経を境に激減するため、更年期に一気に減少。女性なら誰でも通過する更年期は、いわば“骨の曲がり角”でもあるのだ。
「骨はスカスカになっても痛みなどがないので、骨折するまで『骨粗しょう症』に気づかないという人も多いのですが、高齢になってから骨折すると、寝たきりなど深刻な事態になることもあります」と、上西さんはいう。
※女性セブン2011年9月22日号