夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、ご主人(43歳)がアパレルメーカー勤務の奥様(43歳)。ご主人は頼んだものが時間通りに配達されないとクレームをつけるそうです。
* * *
出前の蕎麦がなかなか来ない時、お店に電話で「まだですか?」と聞くと、「今出るところです」とか「今出ました」って答えますよね。主人は「あれが許せない」というんです。
「今出ました」と聞くと、「分かりました」と電話を切り、「本当かどうか確かめてくる」といって自転車に飛び乗り、近所の蕎麦屋さんへ一直線。出前のバイクが店先にまだ置いてあると、急いで家に戻ってきて、「どうして嘘つくんですか! 出てないじゃないですか」と、クレームの電話を入れるんです。
うちでは主人しか蕎麦を食べませんから、頼むのは主人の分だけ。自転車で往復するのなら、出前を頼まないで食べに行けばいいと思うんです。私がそういうと、「いや、オレは出前の蕎麦が好きなんだ!」。蕎麦屋さんの奥さんとは子供同士が同じクラスで顔見知りなので、すごく気まずいんですよ。
新聞販売店のお子さんも同じクラスなんですが、ここにも毎朝のようにクレームの電話です。朝5時半に起きて、トイレで朝刊を読むのが主人の日課なんですが、その時間に配達されていないと、「朝刊を読みながらじゃないと出ないんですよ! どうしてくれるんですか」とクレーム。
そして、玄関ドアの新聞受けの前でイライラしながら待ち、朝刊が入れられた瞬間、サッと抜きます。すると、配達の人は「ギャッ」と驚いた声を出すんです。入れた瞬間、朝刊が内側から引き抜かれたら、そりゃビックリしますよね。
蕎麦屋さんの奥さんも新聞販売店の奥さんも、保護者会ではなるべく顔を合わせないようにしています。
※週刊ポスト2011年9月16・23日号