民主党政権が誕生して以降、鳩山由紀夫氏や菅直人氏は、日本外交を放置していたも同前だった。巨大化する中国が尖閣諸島の領有権を声高に主張し、行動に示すようになったのをはじめとして、ロシアや韓国との間の領土問題も常に後手に回っている。“弱腰”民主党外交が何を生んだのか、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏がここでは領土問題について指摘する。
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民主党政権になって、北方領土問題も大きく後退しました。いまロシア側から見れば、北方領土問題は存在しないに等しいでしょう。国家戦略がない国とは交渉しても仕方がないからです。
鳩山氏は祖父・一郎氏の日ソ共同宣言(1956年)から積み残された課題だといい、「北方領土で日ロ首脳会談を開きたい」などとも口にしましたが、歯牙にもかけられませんでした。
菅氏はこの問題についても完全に放置し、その間にロシアは強硬姿勢を強め、2010年11月にはメドベージェフ大統領が国後島を訪問しました。この訪問を菅氏は「NHKの報道で知った」というのですから、呆れるばかりです。
とくにメドベージェフ大統領が9月29日に、北方領土を「必ず近く訪問する」と宣言していたにもかかわらず、強く非難も抗議もせずに傍観していた責任は、極めて重いといわざるをえません。
竹島をめぐる問題では、韓国が新たな建造物をつくって実効支配を進めるのを、指をくわえて見ているだけです。3人の自民党の議員が入国を拒否された際にも、枝野官房長官(当時)は「遺憾である」といっただけでした。本来なら、韓国の無法ぶりに対して、日本も韓国の国会議員の入国を拒否するなどの対抗措置をとるべきです。
※週刊ポスト2011年9月16・23日号