「ニュースから学ぶ大人力」、今回はコラムニストの石原壮一郎氏が、芸能界で相次いだ歳の差婚ニュースを題材に「大人の祝福の心意気」について学びます。
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ベテラン芸能人の「歳の差婚ラッシュ」が続いています。最初の衝撃は、7月31日に判明した加藤茶の45歳差婚。68歳の加藤茶が23歳の一般女性と再婚していたことがわかって、世間はいっせいに「あんたも好きねえ」と突っ込みを入れました。
続いては、三度目の結婚となる堺正章。65歳の誕生日にあたる8月6日に、22歳年下の一般女性との婚姻届を提出しました。加藤茶と堺正章までは「まあ、あのふたりなら、そういうこともあるだろうな」と思っていたら、今月に入って60歳の小林薫が22年下のモデル兼女優の小梅と再婚していたことが判明。
もうそのぐらいにしておいてほしいという切ない願いも虚しく、ほぼ同時に68歳の寺田農が35歳年下の一般女性と再婚していたというニュースが流れました。大きな声では、とくに妻の前ではけっして口に出して言えませんが、中年以上の男性にとってはじつにうらやましい話です。
もしかしたら、上司や同僚、あるいは友達が、いきなり「歳の差婚」をすると言い出さないとも限りません。そんな場合、いったいどう祝福すればいいのか。大人のたしなみのひとつとして、あらかじめ考えておきましょう。
まずは全力でやっかむのが、同じ男としての責務。「うらやましすぎて殺意を覚えます!」ぐらいは言ってもいいでしょう。「落語じゃないけど、早死にしないようにね」も、縁起でもありませんが相手にとっては嬉しい言葉です。おめでたい話にふさわしくない「不謹慎な言い方」を積極的に繰り出すのが、歳の差婚の祝福におけるマナーです。
続いては、「どうやって口説いたの!?」「ふだん何の話をするの?」と、あれこれ詮索しましょう。「お前のどこがいいって言ってるの?」と率直に尋ねるのも一興。不思議がれば不思議がるほど、「この歳で若い女性を射止めた俺」に対する優越感や満足感をくすぐってあげることができます。本当はべつにどうでもよくても、本人はきっと好奇の目で見られることを期待しているので、大人の思いやりを発揮して頑張りましょう。
仕上げとして欠かせないのが、奥さんの人格を称賛しておくこと。本人としては「思慮の足りない若い女性をうまくだました」と見られるのを強く恐れているはず。今までの流れの罪滅ぼしも兼ねて「しかし、○歳も年上の男性と結婚しようと思うんだから、よっぽど人間ができていて、精神的に大人な頭のいい女性なんだろうね」ぐらいのことは言っておきましょう。奥さんをホメれば、間接的に本人をホメたことにもなります。
やっかみ→詮索→奥さん称賛。この大人の三段論法を繰り出すのが、歳の差婚を祝福するときの大人のセオリー。善行を積んでおけば、何かの形であやかれるかもしれません。