日立製作所と三菱重工業の経営統合は、日本経済新聞がスクープとして報じたものの、その後両社が否定する結果となった。はたしてこの件、今後どう推移するのか。大前研一氏が解説する。
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もし三菱重工との交渉が頓挫した場合、日立は東芝と交渉を始める可能性がある。公正取引委員会が、独禁法に鑑みた合併の審査で、対象市場(分母)を国内だけでなく世界市場に広げれば、その可能性はゼロではない。
もともと日立の統合相手としては、東芝のほうが収まりがよい。家電部門はシェアが高まり、東芝はパソコンが圧倒的に強く、日立は大型コンピュータが強いなど相互補完性もある。
原子炉の技術は両社ともBWR(沸騰水型原子炉)だが、東芝傘下のWHはPWR(加圧水型原子炉)だ。こうしてシミュレーションをしてみると、日立と東芝は案外しっくりいきそうな“似合いのカップル”なのである。
売上高は日立9.3兆円、東芝6.4兆円、合わせて15.7兆円の巨大企業が誕生するかもしれない。
※週刊ポスト2011年9月16・23日号