信州・安曇野を舞台に、戦前、戦中、戦後という昭和の激動の時代を生き抜いた女性の一代記である、NHK連続テレビ小説『おひさま』が好調だ。最近では、視聴率20%を超えることもあり、ドラマ部門のトップを走っている。視聴者の間からは、井上真央(24)扮するヒロイン・陽子の言葉づかいや立ち居振る舞い、家族や隣人への細やかな気づかいなどに「癒される」という声が聞こえてくる。
また、井上の箸づかいや食事の所作が美しいとの評価も高い。番組を担当しているNHKの小松昌代チーフ・プロデューサーはこう話す。
「実は主役が真央ちゃんに決まってすぐに、事務所に“お箸(の持ち方)、大丈夫ですか?”と確認したんです。とにかくこのドラマは食べるシーンが多いですから。でも心配は無用でしたね」
ドラマの前半では、早くに母を亡くした陽子が、一家の家事を一手に担う。そのため、陽子が家族のお弁当を作るなど、料理をするシーンが多かった。そのときの大きな菜箸の使い方も見事だった。
「彼女は箸づかいについては本当に慣れています。また、所作とは違いますけど、どれくらい気持ちを込めて料理を作っているかというのが、彼女の演技からは伝わってくる。所作はもちろんですが、“品格”って、実はその、相手に対する思いやりこそが最も大切な部分なんじゃないでしょうか」(小松さん)
井上といえば、教師をしているときの、黒板の板書の文字や手紙の文字が美しいことが話題にもなった。
「陽子が書いたという設定の手紙はほぼ全部、真央ちゃんが書いています。当時のままに、ペンにインクをつけて。学校をやめたとき、教え子ひとりひとりに手紙を書くシーンがあるんですが、それも全部自分で書いていました。実際の生活でも、差し入れや手紙をもらったら、翌日にはすぐに返事を書くような人なんです」(小松さん)
※女性セブン2011年9月22日号