性科学者として『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)を出版し、性の伝道師として女性から絶大な支持を得るとともに、産婦人科医として『踊る産科女医』(吉川景都/著、小学館)の原案・監修も手がけてきた宋美玄さん。そんな宋さんも、実は現在妊娠中だ。35歳で初めての出産を迎える宋さんが、一妊婦として、そして一産婦人科医として感じていることを、率直に語った。
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妊娠してわかったことは、「ひとつとして同じ妊娠はない」ということ。それは同時に「妊娠したから、すべてがわかるわけではない」ということです。
お腹の赤ちゃんのことを考えると、かわいいし、「ちゃんと育てないと!」という思いは強くあります。実際に悪阻(つわり)や腰痛、便秘を経験して、「ほんま、しんどい!」と思いますし、妊婦は足がよくつるのですが「地味につらいわ」と実感しました(笑)。
ただ個人としてはもちろん特別な経験ですが、産婦人科医としては客観的にわかることは少ないです。こんなことをわざわざいうのは、稀にですが「子供産んだことないアンタに何がわかる?」とか、「説得力がないわ」とかいわれたことがありまして。いやいや、それいうたら男性の医師はどうなんねん!と(苦笑)。産婦人科には、難産のかたや流産されたかた、不妊治療されているかたなど、いろいろな患者さんがいらっしゃいます。そのすべてを経験している医師なんていませんが、個人的体験は別にして、目の前の患者さんのことを考えて寄り添うことはできると思います。
自治体の母親学級などに行くと、「あんまり怖い話をしないでくださいね」といわれることもありますが、私は常に「妊娠・出産に100%の安全はない」というお話をします。これは脅しとか、いい訳のつもりはありません。
それくらい出産は大変なことだということを理解してほしい。そして基本的な知識を得ることで、少しでも患者さんに不安や不満を解消してほしいのです。
※女性セブン2011年9月22日号