国内

野田首相のお膝元グルメ 「幻の海苔」は首相並みにやわらかい

 あの有名人が好きな料理はどんなの? 地元で有名な食べ物は? 食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏が語る「日本全国縁食の旅」。今回は野田佳彦・新総理のお膝元、千葉県船橋市の「幻の海苔」を紹介する。

 * * *
 就任早々、米、中、露、韓の首脳と電話会談し、被災地にも赴くなど、精力的に動き続ける野田佳彦総理大臣。単価1000円のカットサロンで髪を切り、吉野家やサイゼリヤなどで舌鼓を打つという。そんな庶民派宰相の“地元”は千葉県第4区、つまり千葉県第二の都市、船橋市――。「幻の海苔」とも言われる「三番瀬海苔」の産地でもある。

 「三番瀬(さんばんぜ)」とは、東京湾内の船橋市、市川市あたりの干潟の総称で、江戸前の魚介類など、豊富な水産資源を持つ東京湾きっての漁場だ。江戸時代、徳川家に魚介類を献上する御菜浦(おさいのうら)に指定されてから400年経った現在も、国内きっての海苔の産地となっている。それも希少な「支柱式」の海苔を生産する干潟だ。

 海苔の養殖方式には、大きく2種類ある。現在、全国的に主流となっているのは、海上に海苔が養殖される網を浮かべ、海中にいかりを下ろす「浮き流し式」。そしてもうひとつは、干潟など浅瀬に支柱を立て、その間に海苔網を張る「支柱式」だ。

 常に海水に浸かり続ける「浮き流し式」は耐水性が強くなる。一方、「支柱式」は干潮時には海から顔を出し、太陽のもとで乾かされることでうま味が濃縮されるという。だが、穏やかな潮流の浅瀬でなければ支柱は立てられない。全国的に沿岸工業地帯が造成され、海苔の養殖場は沖へと追いやられるなか「三番瀬」は支柱式の海苔が養殖される、もはや全国でも数少ない干潟なのだ。それだけに「三番瀬海苔」は値段も高く、最高級品になると一帖1500円以上。桐箱入り有明海苔の最上級品並かそれ以上の価格になる。

 流れがゆるやかな湾内で育てられた支柱式の海苔はうまみが増し、やわらかさも備え、口の中ではらりとほどける。一方、浮き流し式の海苔は、巻物など長時間水分にさらされてもしっかりとその形を保つことができる。

 三番瀬のお膝元、船橋から初めて誕生した総理大臣、野田佳彦。定評のある演説のうまさに、野党から「あそこまで腰が低いとやりづらい」と苦笑いされるほどのやわらかさ。育ちの異なる「浮き流し式」の海苔のように、しっかりとした内閣を保つことができるのか。

厚生労働省の方からタバコ――いや、キナ臭い香りが漂ってきたかと思ったら、新内閣発足からわずか9日目で、鉢呂吉雄経済産業大臣がその任を自らほどいてしまったが……。

関連記事

トピックス

折田氏(本人のinstagramより)と斎藤知事(時事通信)
《折田楓社長のPR会社》「コンペで5年連続優勝」の広島市は「絶対に出来レースではありません」と回答 斎藤知事の仕事だけ「ボランティア」に高まる違和感
NEWSポストセブン
加古川
【獄中肉声・独占入手】加古川女児殺害事件で再逮捕の勝田州彦容疑者「ケータイをいじりながら、一般人のフリをして歩いて」「犯行後には着替えを用意」と明かしていた“手口”
NEWSポストセブン
紅白の
《スケジュールは空けてある》目玉候補に次々と断られる紅白歌合戦、隠し玉に近藤真彦が急浮上 中森明菜と“禁断”の共演はあるのか
女性セブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
《次は高校の卒業旅行に突撃》「1年間で600人と寝た」オーストラリア人女性(26)が“強制送還”された後にぶちあげた新計画に騒然
NEWSポストセブン
中井貴一
中井貴一、好調『ザ・トラベルナース』の相棒・岡田将生の結婚に手を叩いて大喜び、プライベートでゴルフに行くほどの仲の良さ 撮影時には適度な緊張感も
女性セブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
《バーキン、ヴィトンのバッグで話題》PR会社社長・折田楓氏(32)の「愛用のセットアップが品切れ」にメーカーが答えた「意外な回答」
NEWSポストセブン
小沢一郎・衆院議員の目には石破政権がどう映っているのか(本誌撮影)
【小沢一郎氏インタビュー】自民党幹部に伝えた石破政権の宿命「連立をきちんと組まない不安定な政権では有権者に迷惑、短命に終わる」
週刊ポスト
東北楽天イーグルスを退団することを電撃発表し
《楽天退団・田中将大の移籍先を握る》沈黙の年上妻・里田まいの本心「数年前から東京に拠点」自身のブランドも立ち上げ
NEWSポストセブン
妻ではない女性とデートが目撃された岸部一徳
《ショートカット美女とお泊まり》岸部一徳「妻ではない女性」との関係を直撃 語っていた“達観した人生観”「年取れば男も女も皆同じ顔になる」
NEWSポストセブン
再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
ラフな格好の窪田正孝と水川あさみ(2024年11月中旬)
【紙袋を代わりに】水川あさみと窪田正孝 「結婚5年」でも「一緒に映画鑑賞」の心地いい距離感
NEWSポストセブン
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン