9月に入って再び1トロイオンス=1900ドル台をつけた金価格(NY金先物)は、その後1800ドル台で調整しながらも依然として高値圏での推移が続いている。いったいどこまで上昇するのか、それとも下落してしまうのか――。海外投資のスペシャリストであるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、今後の金価格の推移をこう予測している。
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私は今後、金価格は1トロイオンス=2000ドルを超えて上昇していくのではないか、と見ています。その根拠はいくつもあります。
まず、ニューヨークダウが金価格の何倍かを示す「ダウ・ゴールドレシオ」というものがあります。長期的なスパンでは、この数値が高ければ「株の時代」、低ければ「商品の時代」と判断することができ、さらに一度サイクルが変わると20年近くその流れが続くという非常に強い指標といえます。
これを見ると、2000年のITバブルで40倍という株の時代がピークを迎えた後、商品の時代が始まり、現在は6倍前後まで下がってきている。過去の推移から考えれば、ここからさらに数年かけて4倍を切る水準まで下がっていくのは必至。これだけを見ても、現在は商品の時代のピークに向かう歴史的な流れのなかにあるといえます。
次に、世界の主要通貨に対する米ドルの価値を示す「ドルインデックス」を見ると、ドルの価値は下落の一途を辿り、これと相反するように金価格は上昇トレンドを描いているように、ドルが下がれば金が上がるという見事な反相関関係にあります。ましてや米国は失業率が高止まりするなど、景気回復の兆しが見えないなか、オバマ大統領が雇用対策を打ち出しましたが、要は輸出でリードさせるために「ドル安政策」をとらざるを得ない。来年秋には大統領選を控えており、少なくともそこまではドル安基調は続くと見て間違いないでしょう。
歴史的な「商品の時代」がピークに向かおうとするなか、当の米国がドル安政策を続けるのであれば、金価格は長期的に2000ドルはおろか、3000ドルを目指す展開になってもおかしくない。それが私の見方です。
この歴史的な金価格上昇の恩恵を受けたいのであれば、もちろん純金積立や金貨といった金そのものを買ったり、金ETF(上場投資信託)に投資する手もあります。しかし、それよりも大きなリターンが期待できるのが、金鉱株でしょう。
従来は個別株を売買するしかなかったのですが、最近では世界の代表的な金鉱会社の株価に連動する金鉱株ETFが登場していて、たとえば米国に上場する『マーケット・ベクトル・金鉱株ETF』(ティッカー:GDX)はこれまで金価格の上昇以上に大きく上がっています。なお、このGDXは最近、SBI証券や楽天証券などのネット証券で扱われるようになり、日本からも手軽に取引できるようになっています。