1990年に放映が開始された国民的ホームドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)が、この9月29日で遂に最終回を迎える。主役は若者、1クール(13回)が常となってしまった日本のドラマ界の中で、1シリーズが1年間続き、しかも家族をテーマにした王道を行くホームドラマの『渡る世間は鬼ばかり』は稀有な存在であり続けている。
ドラマがスタートした1990年当時について、プロデューサーの石井ふく子さん(85)がこう振り返る。
「世はまさにトレンディードラマ隆盛期。脚本の橋田壽賀子さん(86)と、“私たちは家族のドラマしか書けない。もしこれがダメだったら、仕事を辞めよう”と決意して取り組んだのが、この『渡鬼』だったんです」
女性の再就職、お受験、介護、嫁姑、さまざまな女性たちの問題を提起し続け、解決のヒントを盛り込んだドラマに、多くの女性たちがひきこまれていった。それは毎回のテーマが、どの女性の日常にもある、切羽詰まった問題だったからだ。
「家族って、時代と共に変わっていくもの。ドラマであっても、それをどうリアリティーを持って描いていくかが課題でした。パソコンのネットも携帯電話も使わない橋田さんと私が、新聞や知り合いとの話からヒントを得て、けんかをしながら作りました」(石井さん)
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号