近ごろの子どもの名前にある、「光宙」が読めるだろうか。ヤンキー漢字〈夜露死苦〉世代が親になって個性的な名が出てきた時代の息遣いを、作家の山藤章一郎氏がリポートする。
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「光宙」は「ぴかちゅう」と読みます。
我が子の名を「悪魔」にしたいと出生届を出してきた親に、都下昭島市市民課はどう対応したか。
答えは明快でした。
「ルールはありません。ふだん使われる、認められた漢字ならOKです。ただ出生届には読みがなの記載が必要です。
ふさわしくない文字や読みは、あまりお勧めできませんがと、やんわり窓口対応します。悪、魔、殺、犯、罰、糞、尿……などを届けてきた人も全国にはいるようです。私どもは市民課の係長、課長を交えて協議いたします」
――では「光宙」は?
「はあ、まあ……なんとも。普段の字ですし、読み方までは」
※週刊ポスト2011年9月30日号