玄葉光一郎・外相の実家は福島の酒蔵で、銘酒は地名から名を取って「小沢の桜」という。反小沢の急先鋒で知られるだけに奇遇な名前だが、玄葉氏は勝利の美酒に酔っている場合ではない。さっそく韓国が玄葉氏に「褒め殺し」という強い酒を飲ませ、骨抜きにしようとしているからだ。
9月2日の韓国・聯合ニュースは玄葉氏を「次か、その次の首相」と持ち上げ、韓国の金星煥・外交通商相は9月7日の講演で、玄葉氏を「KARAや少女時代のメンバーの名前を暗記しているほどKポップに詳しい」と持ち上げた。
ところが、これには前段があった。今年1月、金星煥氏と会談した玄葉氏は、日韓のEPA(経済連携協定)交渉再開を打診したが、金氏から「韓国には過去の歴史への感情がまだ残っている」「竹島問題が交渉に影響を及ぼしている」「在日韓国人の地方参政権問題はそろそろ解決すべき」などと一方的にやり込められた。
玄葉氏は「日本には韓流ブームが広がっているから大丈夫」などとおべんちゃらを返すだけで、何ともほろ苦い外交デビューとなったのだ。この経験がある韓国側は、玄葉氏を「与しやすし」と判断し、「褒め殺し作戦」に出たのである。
※週刊ポスト2011年9月30日号