バスケットボール大会にファッションショーと竹島の夏は今年も韓国の愛国パフォーマンスに染まった。だが、今年の“竹島・独島・夏の陣”は日本の判定勝ちだったと、産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏は指摘する。
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韓国の8月は毎年、反日で盛り上がる。今年も定番の慰安婦問題や「独島」で意気上がった。慰安婦がらみでは、何と亡くなった彼女らの胸像の完成が話題。彼女らはついに抗日独立運動の英雄になってしまった。
一方、「独島」では狭い埠頭にミニ・コートを持ち込んでの“優秀高校バスケット大会”などといった愛国パフォーマンスも。予定の“独島愛国ファッションショー”は悪天候で、場所を変えて鬱陵島開催となった。
しかし今年の“竹島・独島・夏の陣”は日本の判定勝ちだった。これまで韓国に押されっ放しだったが、日本が久しぶりに一矢報いたのだ。
領土問題に関心のある自民党議員3人(新藤義孝、稲田朋美、佐藤正久)が韓国で巻き起こした“騒動”のお陰である。訪韓計画に韓国内で非難、糾弾の声が高まり、反日世論に弱い政府が異例の入国拒否の措置までとった。コトは国際ニュースとなり世界に広がった。
「日韓間にはそんな重大な領土紛争があったのか!」というわけだ。日韓には「領土問題は存在しない」という韓国側のかねてからの虚構が、内外にPRされた。
いつもそうだが、今回も韓国が騒いでくれたため、竹島問題は大いに注目された。とすると、今回の“勝利”は、サッカーでいうなら相手の“オウンゴール”の結果ということもできる。ただ、これは日本側の攻めがあったからだが。
したがって負けた韓国側では反省の声も出ている。「日本の挑発に乗せられた」というわけだ。
韓国側では与党政治家が先頭になって「独島死守!」を叫び「断固、入国阻止!」を煽動したが、負けて反省の声になった。だが、それでも“独島愛国”はやめられない!
今回、反日煽動の先頭に立ったのは李明博政権の有力者、李在五・特任相(無任所大臣)だった。彼は「自分が体を張って独島を守る!」と、日本議員の訪韓日程に合わせて島に渡り、武装警備隊の制服(軍服)を借り、鉄カブト姿で写真に納まった。
政権中枢に位置する大物政治家にしてはいささかコミカルだが、本人は真剣だった。この「独島愛国パフォーマンス」の背景は明らかに選挙。与党敗北は確実と伝えられる来年春の国会議員選挙で、彼は危ういと見られているからだ。
※SAPIO2011年10月5日号