今年は国連が定めた「国際森林年」だが、現在BS日テレでは日本の様々な森を訪ね、そこに生きる人を通じて森の魅力を伝えていく番組『森人-MORIGIN-』(毎週日曜午後6時)オンエア中。東日本大震災以降、「国土を守る」「節電」など様々なテーマが生まれてきたが、番組広報担当の加藤由貴子さんは同番組を通じてこれらのテーマについて深く考えるようになったという。
――なぜ、いま「森」なのですか?
加藤:今年が国際森林年であるということは念頭にあり、2011年、メディアとしてどう自然と向き合うかを考えるべきタイミングにありました。それに加え、震災以降、「日本の森を大事にしよう」という機運が高まってきました。「日本の国土を守っていこう」という意識を持つ番組を丁寧につくることが大事だと思いました。見ることによって、一人の人間がいかに森を維持するためにかかわっているか――ここを大変さも含め、穏やかに観ることができる番組をつくりたいと思っていたのです。
実は海を形成するのも森ですよね。森から水が流れて川になり海になる。そこが根源にある、ということで森を取り上げるのが日本の自然環境とか国土を守ることにつながるのでは、と思います。
――識者からは外国人が日本の森を購入し、水資源を確保しようとする動きがあると聞きましたが、そこらへんの危機感を持たせる目的もあるのですか?
加藤:いえ、そういった意図はありません。あくまでも森の魅力を伝え、視聴者に森への関心を高めてもらえれば、と思っています。森って無造作に見えるものですが、手を入れないとすごく荒れるものです。荒れた森に大雨が降れば土砂崩れになったりもします。大事にされている森には人の手が加わっています。そこには人間がかかわっていて、番組ではその人の営みを見せているのですね。
――加藤さんは東日本大震災以降、森の番組の担当者として、何か意識が変わったことはありますか?
加藤:節電への意識が変わったのは確かにありますが、今年の夏って、暑かったじゃないですか。でも、日陰に入ると違うでしょ。でも、地面が土で、上に木陰があれば温度は全然違いますよね。都心に森があればいいな、と思います。でも、エコとか節電とかいうとせせこましい感じがし、苦行な感じもします。森にはせせこましくなく、苦行ではなく節電・エコが実践できるヒントがあると思っています。
――地デジ化になりましたが、BSの役割はどうなると思いますか?
加藤: 今年7月には地デジ化がほぼ完了し、10月にはBSに新チャンネルが加わります。
この1~2年でBS日テレをご覧いただいける環境が整ったかたも大勢おられると思いますが、全国どこでも、「無料」でご覧いただける放送局のひとつに、BS日テレがあるということをより多くの方に知って欲しいと考えています。
また、番組の作り方、見え方で言うと、地上波の作りとBSの作りは違うということがあげられます。BS日テレが意識していることは、どんな年齢層の方でも「ゆったり見られるもの」を作るところにあります。たとえばカメラワーク一つにしても、ナレーション一つにしても、意識してゆったりと見られるようなものにしています。
BSの役割、というと、答えがなかなか難しいですが、地上波とBSとはテーブルが違うような気がしています。同じ料理が並ばないので、どちらもおいしくいただける、という意味合いです。
まだまだ開局して11年目の放送ですので、地上波と比較すればまだまだヒヨッコですが、
社員も、番組に関わるスタッフにも、今一瞬の楽しさ、面白さだけではなく、文化を作っていくんだという意識があるように思います。